医師が患者に対してわいせつ行為を行った場合、刑事処分だけでなく、医師免許に対する行政処分も問題となります。本記事では、医師による性犯罪と医師免許の関係、行政処分の内容、弁護活動のポイントについて、刑事弁護の実務経験を踏まえて詳しく解説します。 医師による患者へのわいせつ行為の法的問題 医師が患者に対してわいせつ行為を行った場合、複数の法的問題が生じます。まず刑事法上の問題として、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立する可能性があります。医師と患者の関係は、本質的に非対等な関係であり、患者は医師に対して身体を委ねざるを得ない立場にあります。このような関係性において、患者の同意があったとしても、その同意が真意に基づくものであるかが問題となります。 刑法改正により、2023年7月から不同意わいせつ罪および不同意性交等罪が施行されました。これらの罪は、暴行や脅迫がなくても、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせたり、そのような状態にあることに乗じたりしてわいせつ行為や性交等を行った場合に成立します。医師が診察や治療の名目で患者の身体に触れる行為は、患者が拒否することが困難な状況で行われることが多く、不同意わいせつ罪が成立しやすい状況にあります。 医師による性犯罪の特徴は、医療行為との境界が曖昧な場合があることです。例えば、婦人科の診察において、医師が患者の身体に触れることは医療行為として必要な場合があります。しかし、医療上の必要性がない部位に触れたり、必要以上に長時間触れたり、性的な言動を伴ったりする場合は、わいせつ行為と判断される可能性が高くなります。 医師による性犯罪のもう一つの特徴は、被害者が被害を訴えにくいことです。患者は、医師に対して信頼を寄せており、医師の行為が不適切であると認識しても、それを訴えることをためらう傾向があります。また、医療行為の一環であると誤解したり、自分の認識が間違っているのではないかと考えたりすることもあります。さらに、医師に訴えることで今後の治療に影響が出るのではないかという不安から、被害を訴えることができない場合もあります。 医師による性犯罪が発覚した場合、医療機関も責任を問われる可能性があります。医療機関は、患者の安全を守る義務があり、医師の不適切な行動を監視・防止する責任があります。医療機関が医師の不適切な