駐車場の坂道で車を停めたはずが、いつの間にか車が動き出し、隣の車に衝突してしまった――。このような経験は、誰にとっても悪夢のような状況でしょう。特に、サイドブレーキの引きが甘かったことが原因で発生した場合、「過失割合は100%になるのだろうか?」、「どのような法的責任を負うことになるのか?」といった疑問や不安を抱くのは当然です。本記事では、駐車場の坂道で発生した無人車両事故における過失割合と法的責任について、関連する法律や判例を交えながら詳しく解説し、万が一の事態に備えるための実践的なアドバイスを提供します。 2. 法的な解説 2.1. 自動車損害賠償保障法(自賠法)と運行供用者責任 駐車中の車両が自然発車し、他者に損害を与えた場合、まず問題となるのが自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づく運行供用者責任です。自賠法第3条は、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる」と定めています。ここでいう「運行供用者」とは、自動車の運行を支配し、そこから利益を得る者を指し、一般的には自動車の所有者が該当します。 無人車両が自然発車して事故を起こした場合でも、この運行供用者責任が問われる可能性があります。判例では、車両の運行が一時的に停止していたとしても、その停止が運行と密接に関連していると評価される場合には、「運行によって」生じた事故とみなされます。最高裁判所の判例では、駐車行為自体が運行の一環と捉えられ、駐車措置の不備が原因で車両が動き出した場合、運行供用者責任が認められるケースが多数存在します。例えば、エンジンを停止し、サイドブレーキを引いて駐車した車両が、何らかの理由で動き出し事故を起こした場合でも、駐車という行為が自動車の「運行」に付随する行為とみなされ、運行供用者責任が肯定されることがあります。これは、自動車がその本来の目的である運送の用に供されている限り、一時的な停止や駐車も運行の範囲内と解釈されるためです。 ただし、運行供用者責任が認められるためには、運行供用者が「自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと、及び自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと」を証明できない限り、責任を免れることはできません。サイドブ