はじめに 薬物犯罪には、「単純所持」と「営利目的所持」という2つの類型があります。同じ「所持」でも、営利目的があるかどうかによって、法定刑が大きく異なります。営利目的所持の場合、単純所持よりも重い刑罰が科されます。 本記事では、薬物の単純所持と営利目的所持の違い、量刑の差、それぞれの弁護方針について、刑事弁護の経験豊富な弁護士が徹底解説します。 単純所持と営利目的所持の違い 薬物の所持には、「単純所持」と「営利目的所持」の2つの類型があります。 単純所持とは 単純所持とは、自己使用の目的で薬物を所持することです。自分で使用するために薬物を持っている場合は、単純所持に該当します。 単純所持の法定刑は、薬物の種類によって異なります。 覚醒剤の単純所持:10年以下の懲役(覚せい剤取締法第41条の2第1項) 大麻の単純所持:5年以下の懲役(大麻取締法第24条の2第1項) コカインの単純所持:7年以下の懲役(麻薬及び向精神薬取締法第64条の2第1項) ヘロインの単純所持:10年以下の懲役(麻薬及び向精神薬取締法第64条第1項) 営利目的所持とは 営利目的所持とは、利益を得る目的で薬物を所持することです。他人に売却する目的、譲渡する目的で薬物を持っている場合は、営利目的所持に該当します。 営利目的所持の法定刑は、単純所持よりも重くなります。 覚醒剤の営利目的所持:1年以上の有期懲役、または情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金(覚せい剤取締法第41条の2第2項) 大麻の営利目的所持:7年以下の懲役、または情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金(大麻取締法第24条の2第2項) コカインの営利目的所持:1年以上の有期懲役、または情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金(麻薬及び向精神薬取締法第64条の2第2項) ヘロインの営利目的所持:1年以上の有期懲役(麻薬及び向精神薬取締法第64条第2項) 営利目的の認定基準 営利目的があるかどうかは、以下の要素を総合的に考慮して判断されます。 所持していた薬物の量:所持していた薬物の量が多い場合、営利目的が認定されやすくなります。自己使用では消費しきれない量を所持していた場合、他人に売却する目的があったと推認されます。 所持していた薬物の形態:薬物が小分けにされていた場合、他人に売却する目的があったと推認さ